【年末年始休業日】12月28日〜1月4日迄
抗悪性腫瘍薬 分子標的治療薬(レチノイン)
レチノイン tretinoin(ATRA)
【組成】 | 【劇薬】[妊D] |
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【剤形】 | カプセル:10mg |
【用量】 | 寛解導入療法として1日60〜80mg(45mg/m2),食後3回分服 |
【特徴】 | ビタミンA活性代謝物 |
【適応】 | 急性前骨髄球性白血病 |
【警告】 | 催奇形性があるので妊婦,妊娠の可能性の婦人には投与不可.レチノイン酸症候群発現 |
【禁忌】 | 妊婦.肝障害.腎障害.ビタミンA投与中,ビタミンA過剰症 |
【薬物動態】 | (半減期)20mg内服1.6時間 |
【相互作用】 | [併用禁忌](相互に作用を増強)ビタミンA[併用注意](併用薬の作用を増強)フェニトイン.トラネキサム酸,アプロチニン(凝固線溶系バランス変化) |
【フコイダンとの 相互作用】 | 無 |
【副作用】 | [重大]レチノイン酸症候群.白血球増多症.血栓症.血管炎.感染症.錯乱[その他]呼吸困難.口唇乾燥.口内炎.トリグリセリド上昇.肝障害.頭痛,めまい.食欲不振,下痢.腎障害.電解質異常など |
白血病にはいくつかの種類がありますが、そのうちの急性前骨髄球性白血病の特効薬とも言える抗がん剤、それがベサノイドです。ベサノイドはいわゆる分子標的治療薬で、異常に増殖しようとする前骨髄球の分化を正常化していきます。
この薬1つだけで急性前骨髄球性白血病に対して80〜90%ほどの有効率を誇り、ほぼ完治することが出来ます。これがベサノイドが、急性前骨髄球性白血病の特効薬と言われる由縁です。
分子標的治療薬ですので正常な細胞はターゲットではありません。ですので抗がん剤としての副作用はほとんどないのですが、このベサノイドはそもそもがビタミンAの一種なので、服用期間が長くなればなるほど大量のビタミンAを摂取することになってしまい、他の分子標的薬とは違って、稀に重大な副作用が起こる可能性があります。
通常、ベサノイドを内服する際に注意すべき副作用は、GOTやGPTの値が上昇する肝機能障害や血中の中性脂肪の上昇、唇が乾燥や頭痛・発熱などです。
ただ、中には発熱の他に、風邪のような空咳や息切れ、息苦しさ、胸苦しさ、ひどい倦怠感などが起こる人がいます。
この場合は、レチノイン酸症候群という副作用を起こしてしまっている可能性がありますので、すぐに主治医に連絡して相談するようにしてください。
それから、この薬は原則的には妊婦は使用しないことになっています。
その昔、この薬を使ったがために奇形を起こした症例があったことは、医療従事者の間ではよく知られている話です。催奇性が強いため、妊娠や出産の予定のある女性に対しては基本的には用いないことになっています。
しかしながら、急性前骨髄球性白血病の状態によって使用せざるをえない場合には、妊娠していないことを確認した上で治療をはじめることがあります。加えて、治療中と治療が終わった後1ヵ月間は避妊しなければならないことになっています。