【年末年始休業日】12月28日〜1月4日迄
抗悪性腫瘍薬 抗生物質(アントラサイクリン系)
キソルビシン塩酸塩 doxorubicin hydrochloride(DXR)
[アドリアマイシン(ADM)]
【組成】 | 【劇薬】[妊D][授乳X] |
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【剤形】 | 注用:10mg |
【用量】 | (1)1日1回10mg(0.2mg/kg),4〜6日間連日又は1日1回20mg(0.4mg/kg),2〜3日間連日〔注射用水〕〔生理食塩液〕静脈内ワンショット投与後,7 〜10日休薬,又は1日1回20〜30mg(0.4〜0.6mg/kg),3日間連日〔注射用水〕〔生理食塩液〕静脈内ワンショット投与後18日間休薬1クールとして,2〜3 クール 膀胱腫瘍:1日1回30〜60mg,膀胱注入(〔生理食塩液〕20〜40mL),連日又は週2〜3回 (2)(CPA併用)1日60mg/m2〔生理食塩液〕〔注射用 水〕,1日1回静注,20日間休薬,1クールとして4クール繰り返す (3)(CDDP併用)60mg/m2〔注射用水〕〔生理食塩液〕,1日1回静注,休薬後3週毎繰り返す (4)(IFM併用)20〜30mg/m2〔注射用水〕〔生理食塩液〕,1日1回,3日間連続静注,休薬後,3〜4週毎繰り返す (5)(CDDP併用)20mg/m2〔注射用 水〕〔生理食塩液〕,1日1回3日間連続静注・点滴静注,3週間休薬(1クール) (6)(VCR,リン酸デキサメタゾンナトリウム併用)9mg/m2〔注射用水〕〔生理食塩液〕,必要なら輸液に希釈し24時間持続静注.4日間連続後休薬,3〜4週毎(1クール) (7)(併用療法)(a)20〜40mg/m2,24時間持続点滴;1コース20〜80mg/m2を24〜96時間投与.3週間以上あけて繰り返す.1日最大投与量40mg/m2.(b)1日1回20〜40mg/m2静注・点滴静注;1コース20〜80mg/m2,3週間以上あけて繰り返す.1日最大投与量40mg/m2 (1)〜(7)総投与量500mg/m2以下 尿路上皮癌:1回30mg/m2,静注(MTX,VLB,CDDP併用時).1日目MTX30mg/m2,2日目VLB3mg/m2,DXR30mg/m2,CDDP70mg/m2静注.15及び22日目MTX30mg/m2,VLB3mg/m2静注.これを1クールとして4週毎.DXR総投与量500mg/m2以下 |
【特徴】 | DNA・RNAの生合成を抑制.心毒性強い |
【適応】 | ドキソルビシン通常療法:(1)悪性リンパ腫,肺癌,消化器癌,乳癌,膀胱腫瘍,骨肉腫.(併用療法)(2)乳癌(手術可能例における術前,あるいは術後化学療法),(3)子宮体癌(術後化学療法,転移・再発時化学療法),(4)悪性骨・軟部腫瘍,(5)悪性骨腫瘍,(6)多発性骨髄腫,(7)小児悪性固形腫瘍(ユーイング肉腫ファミリー腫瘍, 横紋筋肉腫,神経芽腫,網膜芽腫,肝芽腫,腎芽腫など).M-VAC療法:尿路上皮癌 (適外)骨・軟部肉腫全般(骨肉腫のみ適応),白血病(急性骨髄性,リンパ性) |
【警告】 | M-VAC療法は,添付文書参照.また本剤の小児悪性固形腫瘍での使用は,小児の癌化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで実施 |
【禁忌】 | 心機能異常 |
【薬物動態】 | (半減期)50mg/m2静注0.79時間(β),26時間(γ) |
【注意】 | 24時間持続静注の場合は,中心静脈カテーテルを留置して投与 |
【相互作用】 | 心毒性をもつ他の抗悪性腫瘍薬,放射線照射,パクリタキセル(心筋障害,骨髄抑制増強) |
【フコイダンとの 相互作用】 | 無 |
【副作用】 | [重大][共通]脱水症状.腸炎.骨髄抑制.[内服・注射のみ]白質脳症.うっ血性心不全,心筋梗塞,安静狭心症.急性腎不全.重症な口内炎,消 化管潰瘍.間質性肺炎.嗅覚障害,嗅覚脱失.肝機能障害,黄疸.[注射のみ]ショック,アナフィラキシー様症状.肝・胆道障害(動注時).手足症候群.急性膵 炎.意識障害を伴う高アンモニア血症.肝不全.[坐剤のみ]脱水症状,腸炎.[軟膏]皮膚塗布部の激しい疼痛[その他][内服・注射]食欲不振,下痢,口内炎,悪心,嘔吐.白血球減少,血小板減少.肝・腎障害.静脈炎.全身倦怠.出血傾向.脱毛,色素沈着.浮腫・過敏症状,手足症候群など[軟膏]過敏症.塗布部の疼痛,色素沈着,発赤など |
アドリアシンは1967年に発見された抗がん剤で、悪性リンパ腫や消化器がん、肺がんや骨肉腫、乳がん、膀胱がん、などに効果を発揮します。また、他の抗がん剤と併用することで、さらに多くのがんの治療に用いられています。
抗がん剤ではありますが、分類上は抗生物質でありアントラサイクリン系に分類されます。この種の抗生剤は、放射線治療や同じ種類の薬を使うことで、副作用の1つでもある心毒性が非常に強くなってしまいますので、気を付けなければなりません。
有効率は、単体で使うことで乳がんで50%、膀胱がんで59.3%と非常に高い成果を出しますし、しかも使えるがんの種類が多いので、抗がん剤の中ではもっとも多く使われていることでも知られる薬です。
ただ、副作用が非常に強く現れてしまいます。心不全や心筋障害、心電図異常の他、白血球や血小板の減少、悪心・嘔吐や脱毛が激しく起こります。
ですので、アドリアシンを使う際には、事前に心臓の検査をして治療に耐えうるのかどうかを確認しておかないと使うことが出来ません。薬剤師はこの薬について、抗生物質という性質上仕方ないとはいえ、この副作用さえなければいいのに、と誰もが口を揃えます。
それだけ、効果も大きい薬なのです。
このアドリアシンは、静脈注射で投与しますがその際はできるだけゆっくり入れるようにしています。これにはちゃんとした理由があって、この薬がもし静脈の外に漏れてしまうとその漏れた部分の組織がなんらかの障害を起こしてしまいます。
ですから、漏れる事のないように慎重に注射します。
速度としては、だいたい10mlを5分で入れるくらいの速さです。
普段、点滴や静注に使っている血管がすごく細いような場合には、点滴のラインを確保してから、15分くらいかけて投与する方法を選択することになります。
ちなみに、医療従事者が誤って皮膚に付着させても、刺激が残ることがあります。
使い方は医師の判断になりますが、1日に1回6日間毎日静注し1週間ほど休薬する、これを1クールとして2〜3クール治療する方法や、1日1回3日間毎日静注し3週間ほど休薬する、これを1クールとして2〜3クール治療する方法などがあります。