【年末年始休業日】12月28日〜1月4日迄
抗悪性腫瘍薬 代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)
テガフール・ギメラシル・オテラシル
カリウム配合(1:0.4:1)
【組成】 | 【劇薬】 (テガフールとして) |
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【剤形】 | カプセル:20mg,25mg |
【用量】 | 体表面積当り1.25m2未満:40mg/回,1.25〜1.5m2未満:50mg/回,1.5m2以上:60mg/回 増減量の段階を40mg,50mg,60mg,75mg/回とする 1日2回,28日間連日投与後14日間休薬(1クール) |
【特徴】 | 5-FUのプロドラッグのテガフール(FT)と5-FU分解阻害薬のギメラシルと消化器毒性の軽減化作用のオテラシルを配合 |
【適応】 | 胃癌,結腸・直腸癌,頭頸部癌,非小細胞肺癌,手術不能又は再発乳癌,膵癌,胆道癌 |
【警告】 | 添付文書参照.骨髄抑制,劇症肝炎の発症に注意.他のフッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍薬・フルシトシンとの併用不可.添付文書熟読,用法・用量厳守 |
【禁忌】 | 重篤な骨髄抑制.重篤な腎障害・肝障害.他のフッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍薬,フルシトシン投与中.妊婦 |
【薬物動態】 | CYP2A6で代謝 (半減期)32〜40mg/m2食後内服FT13時間,5-FU1.9時間 |
【注意】 | 各クール開始前及び投与期間中は2週間に1回以上,臨床検査を行う.特に1クール目及び増量時には頻回に実施 |
【相互作用】 | [併用禁忌](相互に作用を増強)フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍薬,フッ化ピリミジン系抗真菌薬[併用注意]](併用薬の作用を増強)フェニトイン,ワルファリン.(相互に作用を増強)他の抗悪性腫瘍薬.放射線照射(血液障害) |
【フコイダンとの 相互作用】 | 無 |
【副作用】 | [重大]骨髄抑制.溶血性貧血.DIC.重篤な肝障害.脱水症状.重篤な腸炎.間質性肺炎.重篤な口内炎.消化性潰瘍.消化管出血,消化管穿孔.急性腎不全.皮膚粘膜眼症候群,中毒性表皮壊死症.白質脳症等を含む精神神経障害.急性膵炎.横紋筋融解症.嗅覚脱失[その他]血液障害.AST・ALT・ビリルビン上昇.食欲不振,悪心・嘔吐,下痢,口内炎.色素沈着,発疹.全身倦怠感.LDH上昇,総蛋白減少,アルブミン低下,紅斑,落屑,水疱,そう痒.しびれ感,頭痛.発熱,鼻炎.BUN上昇,蛋白尿.血圧低下・上昇.心電図異常.レイノー症状など |
がんの治療を目的としている薬のことを一口に抗がん剤といいますが、その種類は多岐にわたります。効果別に分類しても、がん細胞が増えていかないようにDNAレベルに働きかける薬や、がん細胞が増えるために必要なものを遮ってしまう薬、それからもともと体に備わったがん細胞を攻撃しようとする免疫システムを強くする薬などがあります。
このうち、DNAレベルに働きかける薬の中に代謝拮抗剤という種類があり、がん細胞が増えるためにDNAが合成するのを阻害するものがあります。この代表的なものがTS-1(ティーエスワン)と呼ばれる抗がん剤です。
TS-1が効力を発揮するがんは、胃がんや頭頸部がん、結腸・直腸がん、膵がんや胆道がん、手術ができないがん等です。
幅広いがんに成果を上げている上に、経口薬ですので点滴などと比較すると非常に手軽に治療を進めることができます。特に、胃がんに関しては大きな成果をもたらしており、これまで抗がん剤が効きにくいとされていた術後の補助化学療法に非常に効果が高いことが分かってきました。
胃の進行がんの場合、手術だけ行った患者さんの5年生存率は約6割なのですが、手術の後にTS-1を飲んだ場合には、それが約7割となることが分かり、TS-1は今や胃がんの標準治療薬となっています。
基本的な飲み方は、朝晩の1日に2回、食後にTS-1を医師の指示通りに飲みます。通常は4週間毎日続けて飲んだら、その後の2週間内服を休みます。これを1年間繰り返して続けます。
個々の状態によって飲み方は変わってきますし、副作用の出方で医師が判断して変えていくこともありますが、この基本的な飲み方をしたとしたら1年間に8クールの治療を行うことになります。
出現する副作用は多いのですが、程度に個人差があり、出ない人もいれば強く出てしまう人もいます。発熱やのどの痛みやせきなどの風邪症状、吐き気や食欲不振、口内炎、ドライアイ、皮膚の色素沈着、歯茎からの出血などさまざまです。
ただ、TS-1には飲まない期間が設けられるので、従来の抗がん剤のように副作用で苦しみつづけることはありません。