【年末年始休業日】12月28日〜1月4日迄
抗悪性腫瘍薬 アルキル化薬(マスタード類)
イホスファミド ifosfamide(IFM)
【組成】 | 【劇薬】[妊D] |
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【剤形】 | 注射用:1g |
【用量】 | (1)1日1.5〜3g(30〜60mg/kg),3〜5日間連日点滴静注又は静注(1コース),3〜4週間毎に反復〔生理食塩液〕〔注射用水〕 (2)1日1.2g/m2,5日間連日点滴静注を1コースとし,3〜4週間毎に反復〔生理食塩液〕〔注射用水〕.他の抗腫瘍薬と併用すること (3)(DXR併用時)1日1.5〜3g/m2,3〜5日間連日点滴静注又は静注(1コース),3〜4週毎に反復.総投与量1コース10g/m2以下 (単独投与時)1コース総投与量14g/m2まで,点滴静注又は静注,反復 (4)1日1.5〜3g/m2,3〜5日間連日点滴静注(1コース),3〜4週毎に反復.総投与量1コース10g/m2以下,全治療コース80g/m2以下 |
【特徴】 | CPA類似構造で生体内で活性化後,腫瘍細胞のDNA合成阻害 |
【適応】 | (1)肺小細胞癌,前立腺癌,子宮頸癌,骨肉腫.(2)再発又は難治性の胚細胞腫瘍(精巣腫瘍,卵巣腫瘍,性腺外腫瘍).(3)(併用療法及び単独療法)悪性骨・軟部腫瘍.(4)(併用療法)小児悪性固形腫瘍(ユーイング肉腫ファミリー腫瘍,横紋筋肉腫,神経芽腫,網膜芽腫,肝芽腫,腎芽腫など).(適外)悪性リンパ腫,骨・軟部肉腫(骨肉腫のみ適応) |
【警告】 | シクロホスファミド,添付文書参照+小児悪性固形腫瘍に使用する場合は,小児の癌化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで使用 ペントスタチンとの併用で心毒性発現して死亡(外国例).感染症(重篤含む)に注意 |
【禁忌】 | 腎又は膀胱の重篤な障害.ペントスタチン投与中 |
【薬物動態】 | CYP3A4で代謝 (半減期)40mg/kg静注11分 |
【相互作用】 | [併用禁忌]ペントスタチン[併用注意](本剤の作用を増強)フェノバルビタール.(併用薬の作用を増強)インスリン,SU系薬.メスナ(脳症).放射線照射,アロプリノール,他の抗悪性腫瘍薬(骨髄抑系制等増強) |
【フコイダンとの 相互作用】 | 無 |
【副作用】 | [重大]骨髄抑制.出血性膀胱炎,排尿障害.ファンコニー症候群,急性腎不全.錐体外路症状,意識障害,脳症,幻覚,錯乱.間質性肺炎,肺水腫.心筋障害,不整脈.SIADH.急性膵炎[その他]肝・腎機能異常.悪心・嘔吐.発疹.脱毛,色素沈着.頻脈など |
抗がん剤には様々な種類がありますが、その中にアルキル化剤に分類される薬があります。アルキル化剤というのは、簡単にいえばがんが増えるために分裂することを邪魔する薬です。本来なら分裂してがん細胞となるところを、このアルキル化剤が働きかけることでDNAが複製できなくなってしまい、結果的にがん細胞は死んでいくことになります。
このアルキル化剤のうち、比較的よく使われているのがイホマイドになります。
イホマイドは、肺がんの一種である小細胞肺がんや前立腺がんに効果を発揮しており、小細胞肺がんには42.4%、前立腺がんには24.1%の有効率であるというデータがあります。また、約40年以上も前に開発され、世界で1番使われているアルキル化剤でもあるシクロホスファミドという抗がん剤が効かなくなってしまった患者さんにも効果がある場合もあります。ただ、その場合には通常の約4倍に当たる量を投与しなければならなくなるため、副作用が出やすくなってしまいます。
イホマイドは、副作用が強めに出る抗がん剤です。他の抗がん剤と同じく、吐き気・嘔吐や脱毛や倦怠感はどの患者さんにも現れ、ますが、心不全や間質性肺炎、意識障害、白血球や血小板が減少する骨髄抑制、急性腎不全、そして出血性膀胱炎には注意せねばなりません。特に、抗がん剤の副作用で現れる出血性膀胱炎は、薬を減量するか休薬するかしかなかったので、一昔前であれば医師側にも患者側にも辛い難題となっていました。しかし、現在はイホマイドを使う前に出血性膀胱炎を予防するメスナという薬を使うことで、ある程度予防できるようになりました。
使い方は疾患や症状、年齢などによって異なりますが、基本的には指示量を3〜5日静脈内に点滴するか静脈注射するかで投与します。投与後に白血球の値が下がりますので、白血球が正常値に近い値になるのを待って、3〜4週間ごとにそれを繰り返します。
イホマイドは抗がん剤として単体で使われることは少ないので、他の抗がん剤と併用すると、また使い方は違ってきます。